東京大学大学総合教育研究センター様は、東京大学の教育企画室の中核として、組織全体に関わる教育の質の向上やそのための支援活動に取り組まれています。2005年にUTokyo OpenCoureseWareを開設以来、東京大学の教育プログラムに従って提供されている正規講義の講義資料や講義映像を、東京大学の外の方々にも無償で提供されてきました。
教育サービスのオンライン化支援(東京大学の正規授業のネット配信 – OCW、公開オンライン講座 – MOOC、公開講座やイベント動画の配信である東大TV、e-Learning Forum – eLF)、ファカルティ・デベロップメント(フューチャーファカルティプログラム – FFP、インタラクティブ・ティーチング、コンサルテーションなど)、教育情報発信、語学教育発信などのサービスに加えて、教育DXの推進を大きな基軸に据えて活動されています。
それらの施策の成果である教育研究コンテンツ共有システム UTokyo e-Learning Forum(略称:UT eLF)は、2017年3月に運営が開始されました。UT eLFは、講義ビデオや講義資料の配信のみならず、ユーザ管理や、小テストの提供、評価、集計等が可能なオンライン学習管理システムです。仕様の透明性が高いオープンソースの世界標準eラーニングソフトウェアであるCanvas LMSをベースとして、東京大学様で開発された複数の独自LTI対応アプリケーションを組み合わせて構成・運用されています。学内外の大学・諸機関との共同研究、合同講義/正規講義/学内向け一般公開といった様々な用途に応じたコンテンツ共有や学習管理が可能になっています。大きな組織で1つの教育プラットフォームを共用し、各部局で独自のオンラインコースを柔軟に運営していくために、Canvas LMSのサブアカウントと呼ばれる高度な組織管理機能(傘下組織への部分的な権限移譲システム)が活用されています。
大学には、教育コンテンツあるいはコンテンツを作成するための知識が多く蓄積され、また新たに研究・教育事業を開始する場合にそれら事業成果を有効に共有することが求められています。eLFは様々な形で学内に散らばっている教育コンテンツを共有する場として利用されています。東京大学様の教員の方々が参加しているプロジェクト、大学内部の技術教育、教員の講義資料提供などにも活用されています。Canvasをシステムの中核とする、このUTokyo e-Learning Forumは、場を通じた情報交換により教育の輪が拡がっていくことを目指して、Forumと名付けられているのです。
eLFは大学教育という枠を超え、東京大学において創出された最高水準の学術成果の中で、特に社会、産業界からの要請が強く、日本の成長とイノベーションの創出につながるものを選択し、民間企業や社会人の方々への実践的リカレント教育というかたちで還元するためのプラットフォームとしても利用されています。一例として、東大データサイエンススクール(東京大学100%出資の会社が提供する教育サービス)では、AI活用の本格化に対応し、東大講師陣による本格的なデータサイエンス講座がUT eLF(Canvas LMS)で提供されています。