ルーブリック評価ではルーブリック表で予め「評価軸」を示しておくことで、「何が評価されるのか」についての情報を講師と受講生で共有することができます。
ルーブリック評価のメリットとは
講師、受講生ともに、達成すべきレベル(水準)が明確になり、受講生の現在のレベルや改善点が分かりやすくなります。
このことにより以下のような効果が期待されます。
迅速なフィードバック
受講生へのフィードバックは受講生ごとに個別に詳細に行われる事が望ましく、迅速であればあるほど評価対象(課題や授業態度)とフィードバック内容を結びつけやすいため、学習効果が高くなります。個別に詳細なフィードバックを行うのは講師にとって時間も労力も掛かり負担が大きく、受講生は忘れた頃にフィードバックを受け取る事になり、学習効果が低いという悪循環が起きていました。 ルーブリック評価では講師はルーブリック表の評価項目のレベルをチェックしていくだけなので、受講生に対しての評価を簡単に素早く行うことができます。そのため、受講生は自分の提出物や授業態度などについてリアルタイムでフィードバックを受けることができるため、反省点を生かして次の課題に意欲的により組むことができます。
詳細で分かりやすいフィードバック
受講生のフィードバックは詳細であることが望ましいが、詳細なフィードバックは長いコメントで表されることが多く、受講生はコメントの中からどの点が良かったのか、改善しなければならない点は何か読み取る必要がありました。 ルーブリック評価では受講生は評価項目のチェックを見るだけで、継続するべき良い点や改善箇所をわかりやすく理解することが出来ます。
評価の公平性(評価の見える化)
曖昧な評価基準は受講者にとってはブラックボックスと受け止められ、受講生間の成績の差がある場合、その原因がわかりにくく、公平性を欠いたものに感じられることがありました。 ルーブリック評価では何がどのように評価されるのかクリアになるため、受講生への評価がだれにとっても納得のいくものになります。
過去のルーブリックで成長を把握
長期的に受講生の成績が向上しているか、どのように推移しているかを見ることは重要であるが、数字やコメントによる評価では継続的に捉えることが出来ません。 過去のルーブリック評価での評価項目のレベルを比べることで、受講生の長期的な成長をわかりやすく捉えることが出来ます。
コミュニケーションツールとして
ルーブリックでの評価は第三者にとってもわかりやすいため、受講生の学習状態を講師や関係者間で共有することが出来ます。複数の講師で授業を行う場合の評価のブレを無くし、また担当講師以外に学習状況を説明するようなケースにも対応できます。 講師にとってはルーブリックを共有したり参考にすることで、講師同士で指導方法を共有することができ、またお互い改善し合うことで教育技法の向上へとつながります。 学習者は過去の学習者も含めて他者のルーブリック評価を、自分のものと比較することで、自分の学習状態を顧みることができ、改善点を見つけやすくなります。
批評的思考力のトレーニング
受講者はルーブリックを長期的に見ることで、つまづきやすい部分や伸びている部分を自覚することができます。自分の学習について批評的に振り返ることは、高い学習意識につながります。
学習者の優れた個性を見出す
詳細なルーブリック評価を継続して見ることで、学習者自身も気づかなかった能力が見えて来ることがあります。また外部に自分の能力をアピールする際に分かりやすい根拠として使用することもできます。
受講生からの意見の反映
いわゆる「現場の声」のように、講師が見落としていた「評価されるべき項目」に受講生が気づく場合があります。 せっかくのアイディアも、ブラックボックス化した評価では、受講生は意見として挙げにくく感じてしまいます。ルーブリック評価では評価されている項目が明確なので、受講生が「足りない」と感じた項目を指摘することが可能です。これらの意見をルーブリック表に反映していくことでより良い評価へとつなげて行けます
ルーブリック評価にはデメリットもあります
このようにルーブリック評価を導入することによって、多くのメリットが期待されます。しかし、どのようなことにもメリットデメリットの両面があるように、ルーブリック評価も幾つかのデメリットがみられます。